私たちのアプローチ
一人ひとりを知ることから、
支援は始まります。
CedarPathでは、よりよい行動支援は、その人が実際に送っている日々の暮らしの中で、一人ひとりを理解することから始まると考えています。行動は、その人だけに切り離して考えられるものではありません。これまでの経験や身につけてきた力、人とのつながり、その時々の思いや必要としていること、そして周りの環境。こうしたさまざまな要素が互いに関わり合う中で、私たちの行動は形づくられていきます。
私たちのアプローチでは、人の行動や学習について積み重ねられてきた知見と、一人ひとりへの丁寧な理解の両方を大切にしています。その人の強みや好み、人とのつながり、目標、そして日々の暮らしを形づくるさまざまな状況に、丁寧に目を向けます。あらかじめ決められた方法を当てはめるのではなく、まず「何が起きているのか」「なぜそれが大切なのか」、そして「どのような変化が新たな可能性につながるのか」を理解することから始めます。
こうした考え方は、行動をどのように理解し、人とのつながりを育み、スキルを支え、ご本人や周りの方々とどのように連携していくかを示す、5つの大切な考え方に表れています。
行動は、周りとの関わりの中で生まれます。
行動を理解するとき、その人だけに目を向けるのではなく、その人と周りの環境との関わりに目を向けることで、見えてくることがあります。私たちの行動は、これまでに学んできたこと、その時に望んでいることや必要としていること、今できること、一緒にいる人、そして行動したあとに何が起こるかなど、さまざまな経験や環境との関わりの中で形づくられていきます。こうした要素は互いに影響し合っているため、成長や変化も、いつも単純にまっすぐ進むとは限りません。
その文脈を理解すると、私たちが投げかける問いも変わってきます。「どうすればこの行動をやめさせられるか?」「どうすればこの人にこれをさせられるか?」と考えるのではなく、「この行動から、今の環境について何がわかるだろう?」「何がうまくいくことを難しくしているのだろう?」「どのようなスキルや支えが足りていないのだろう?」「別の行動ができるようになるために、何を変えられるだろう?」と問いかけてみます。
時には、新しいスキルを身につけられるよう支援することが必要です。また時には、すでに持っている力をより活かせるよう、周りの環境を整えることが大切な場合もあります。多くの場合は、その両方に取り組みながら、その人と周りの環境がよりうまくかみ合うあり方を一緒に探していきます。
人とのつながりも、環境の一部です。
教える前に、まずその人から学ぶことから始めます。
私たちを取り巻く環境の中でも、とりわけ大きな影響を与えるのが、人とのつながりです。周囲の人との関係は、何に安心を感じるか、何を大切だと感じるか、何を楽しいと思うか、そして何ができそうだと感じるかに影響します。また、何に近づき、何を避けるのか、どのように気持ちや考えを伝えるのか、何が意欲につながるのか、そしてどのように学んでいくのかにも深く関わっています。
だからこそCedarPathでは、支援する人とご本人との関係を、支援そのものとは別のものだとは考えていません。また、「本当の支援」を始める前に協力してもらうための手段とも考えていません。人との関係そのものが、支援の大切な一部だからです。信頼、一緒に楽しむこと、見通しが持てること、そして「一緒に取り組んでいる」と感じられること。そうした関係が、安心して学び、成長していける環境をつくります。
これは、ご本人が「やってみたい」「続けたい」と思えることや、自分で選べること、自分の希望や必要なことを伝えられることを、支援の大切な一部として考えるということでもあります。学び方や、いつ、どこで取り組むかについて、ご本人自身がきちんと意思を示し、影響を与えられる機会が必要です。そして、言葉であっても行動であっても、「少し休みたい」「ここでやめたい」「別のやり方にしたい」と伝えているときには、その声にきちんと耳を傾けます。
私たちが目指すのは、ご本人に一方的に何かを教えるのではなく、ご本人と一緒に学びをつくっていくことです。信頼できる関係があるからこそ、何が大切なのかを一緒に見つけ、難しい場面をともに乗り越えながら、ご本人も、その関係も、ともに育っていけるような学びをつくることができます。
理解することから、支援は始まります。
「誰のせいか」ではなく、「どうすればよくなるか」に目を向けることができます。
行動分析は、「行動は理解できる」という、シンプルでありながら大切な考え方から始まります。人の行動は、理由もなく偶然に起こるものではありません。そして、その理由を思い込みや推測だけで考える必要もありません。その人がこれまでに何を学んできたのか、周囲で何が起きているのか、行動したときに何が変わるのか。そうした背景を丁寧に観察することで、行動がなぜ起きているのか、そしてどのような支援が役立つのかを理解する手がかりとなるパターンが見えてきます。応用行動分析(ABA)は、こうした行動への科学的な理解を、実際の支援に活かすための方法です。
CedarPathでは、こうした理解を、丁寧な観察と必要な測定を通して確かめていきます。データだけで、その人を理解できるわけではありません。けれどもデータは、「きっとこうだろう」という思い込みや、診断名・レッテル、主観的な見方だけで行動を判断するのではなく、何が起きているのかをより確かに捉え、次に何をすべきかを考える手がかりになります。そして同じくらい大切なのは、私たちの支援が本当に役立っているのかを確かめ、うまくいっていないときには、支援のあり方を見直せることです。
行動分析では、何らかの形でその人にとって「役に立ってきた」行動は、続きやすいと考えます。大きな困りごとにつながっている行動であっても、あるときには問題を解決したり、必要なものを得たり、難しいことを避けたり、大切な何かにつながったりするなど、その人にとって何らかの役割を果たしてきたからこそ、続いているのかもしれません。
こうした理解を土台に、ABAには、学びや行動の変化を支えるためのさまざまな実践的な方法があります。複雑なスキルを取り組みやすい段階に分けたり、すでに持っている強みやスキルを活かしたりしながら、成功につながる経験を一つずつ積み重ねていけるよう、学びやすい環境を丁寧に整えていきます。
スキルは、新しい可能性につながるもの。
行動科学は、「どう教えるか」について多くのことを教えてくれます。でも、「何を教えることがその人にとって大切なのか」まで決めてくれるわけではありません。
私たちは、その人の日々の暮らしにとって、本当に意味のある変化につながる目標やスキルを大切にしています。たとえば、自分の希望や必要なことを伝える、自分の思いや考えを表現する、できることを増やしていく、困ったときに対処する、人とのつながりを築く、大切にしている活動に参加する、そして家庭や学校、仕事、地域でできることや参加できることを広げていく——目標は一人ひとり異なります。できる限り、ご本人が大切にしていることや希望を中心に、その人をよく知るご家族や支援者の意見も取り入れながら、一緒に目標を考えていきます。
この考え方は、困りごとにつながっている行動への向き合い方にも表れます。「何をやめてもらうか」だけに目を向けるのではなく、その代わりにどのような力を育てられるか、そして新しいスキルが日々の生活の中で役立つために、周りの環境をどう整えられるかを考えます。目指すのは、単に困りごとを減らすことではありません。さまざまな場面に自分なりの方法で対応し、より多くの選択肢を持って日々の生活を送れるようになることです。
意味のある目標は、その先に新しい可能性をひらくものであってほしいと考えています。私たちが支援するスキルによって、選べることや参加できること、人とのつながり、自分でできること、そしてその人にとって大切な経験が少しずつ広がっていくことを目指します。大切なのは、単に「できるようになったか」だけではなく、そのスキルによって、その人に何ができるようになるのか、どんな可能性が広がるのかということです。
連携が、変化を日々の暮らしにつなげる。
私たちは、行動や学習についての専門的な知識を持っています。一方、ご本人をよく知り、日々関わっているご家族や支援者には、その人について積み重ねてきた大切な知識や経験があります。よりよい支援には、その両方が欠かせません。
CedarPathが大切にしている連携とは、支援の中で起きたことをお伝えするだけではありません。それぞれの立場から見えていることに耳を傾け、何を大切にしたいのかを一緒に考え、支援を通してわかってきたことを共有しながら、その人の日々の生活に合った方法を一緒につくっていくことです。ご家庭での過ごし方や人との関わり、利用できる支援や環境など、それぞれの暮らしの現実に無理なく取り入れられる方法を考えていきます。
連携が大切なのは、身につけたスキルが、支援の場だけでなく日々の暮らしの中でも育っていくことが大切だからです。支援者と一緒にできるようになったことも、普段の生活の中で活かせなければ、その価値は限られてしまいます。だからこそ、さまざまな人や場所、日常の自然な場面の中でスキルを使い、さらに育てていけるよう、はじめからその先の暮らしを見据えて支援を考えます。
私たちは、よい支援とは、時間とともにその支援が必要とされる場面が少なくなっていくことを目指すものだと考えています。私たちが目指すのは、より確かなスキルと支えとなる環境を残し、ご本人や周囲の方々が、自分たちで学び、工夫し、変化に対応しながら、一緒に問題を解決していけるようになることです。